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名古屋地方裁判所 昭和41年(行ウ)2号 判決

名古屋市昭和区滝川町二五番地

原告

玉井馨

右訴訟代理人弁護士

大矢和徳

右訴訟復代理人弁護士

原山剛三

名古屋市瑞穂区瑞穂町西藤塚一丁目四番地

被告

昭和税務署長

竹内正礼

右指定代理人

今泉常克

大須賀俊彦

中村盛雄

高橋健吉

酒井常雄

主文

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実

原告は被告が昭和三九年七月一五日原告に対して為した昭和三八年分所得税の営業所得金額を金二、二〇六、〇〇〇円と更正したうち金七七二、一三五円を超過する部分並びに金二一、一〇〇円の過少申告加算税をいずれも取消す。訴訟費用は被告の負担とする。との判決を求め、請求の原因として一原告は被告に対し昭和三八年分所得税に関し確定申告として金三五六、二五〇円を営業所得として申告したところ、被告は昭和三九年七月一五日に金二、二〇六、〇〇〇円に更正処分をし、同時に金二一、一〇〇円の過少申告加算税の賦課決定を為し、その旨原告に通知した。二よつて原告は昭和三九年八月一五日被告に対し異議申立をなし、同年一一月一三日これを棄却せられ、同年一二月一六日名古屋国税局長に対し審査請求をなし、昭和四〇年一〇月二〇日これを棄却せられた。三原告は同月二二日右審査請求棄却決定の裁決書謄本送付通知書を受領したが、右更正処分のうち金七七二、一三五円を超過する部分並びに過少申告加算税賦課決定はいずれも違法であるのでその取消を求める。と述べ、被告の主張事実一(二)の点を認め、同(三)のうち一一、一二月分の卸売上納品書と年間の仕入先の請求書、領収書を提示した点、所得税の更正通知書に営業所得として記載してあるのは事業所得を細分したものである点を認め、その余を否認し、同(四)のうち原処分が正当であり、原告の異議申立は理由がないものと認めた点は不知と述べ、その余の点を認め、同(五)のうち審査請求は理由なく、原処分が正当と認められた点は不知と述べ、その余の点を認め、同二の点を争い、原告は右の如く仕入先の請求書と領収書はすべてこれを呈示したが原告は昭和三八年五月頃大久手から転居した際紛失した書類も若干あるも残存するものはすべて示した。又売上については売上先、代金、日時等の明細を書出して呈示した。従つて営業所得認定の資料は十分提出した。と述べ、原告の主張として

(一)  抗告訴訟の訴訟物は当該行政処分の違法性一般であり、違法性の存否が審理の対象である(民訴法講座五巻一四四〇頁参照)。違法は手続面におけるものと実体面におけるものとに大別されるが、そのいずれもが訴訟の審理の対象となるものである。そして実体上又は手続上の違法が存すれば勿論当該行政処分は違法として取消されることになる。

被告は課税処分取消請求訴訟の訴訟物は当該年度において当該処分にかかる所得が真実存在したか否かであると主張するが所得の存否が税法規に照らして判断されるのは右実体上の違法性の有無に関連することであつてそれ自体はたしかに訴訟の対象になつているがこれに限定して手続上の違法性は裁判所の判断の枠外にある趣旨であれば明らかに誤りである。

被告は審理をことさら実体面に限定し専ら租税債務確認訴訟であるかの如き主張を展開しているがこれは抗告訴訟の本質を正解しないものである。

(二)  本件における手続的違法性は左の通りである。

更正は納税申告書に記載された課税標準または税額等の計算が国税に関する法律の規定に従つていなかつたときその他当該課税標準等または税額等がその調査したところと異なるとき、税務署長がなすものである(国税通則法第一六条第一項第一号、第二四条)。税額等は申告により第一次的に確定し、更正がなされることにより第二次的に確定するといわれているがより正確には申告により税額等は原則的に確定し、例外的に更正により確定するにすぎないというのが自主申告制度の理念と趣旨にそうものである。

自主申告制度の憲法的意義と国税通則法第一六条、第二四条の規定から更正なる権力の発動の要件につき次のように定式化できる。

(イ)  納税申告書が提出されたこと

(ロ)  申告に係る税額等が国税法規に従つていなかつたこと

または

税務署長が税額等を調査したこと

右調査税額等と申告税額等が異つていたこと

以上の各要件を充足したときに限り税務署長は更正処分をなしうるのであつて、右要件をみたさないのになした更正は違法である。従つて更正の要件事実たる右各要件が存在しないのに敢てなされた更正は仮に更正に係る税額等が事実と租税法規に照らして客観的に存在したとしても手続的に違法であつて取消を免れないのである。

(三)  右(二)の調査とは申告にかかる総収入額、総必要経費及びそれらの内訳並びにこれらの算出の基礎となつた資料等について実質的にかつ十二分に調査したことを要するのであり、単に営業の規模等を外見するだけといつた調査として不十分な場合は調査を尽したことにならないと解すべきである。また申告税額が調査税額と異るというのは客観的かつ合理的にみて異つていることがもつともと思料される場合でなければならないのであつて税務署長の客観性の担保のない主観的な判断または合理性を欠く判断によつて判定されてはならない。

(四)  以上から被告は更正処分の発動がその時点において通則法第一六条、第二四条の規定に適合していたことの主張立証をなすべきであり、右主張立証のない限り被告の更正は更正の要件を欠いたものとして手続的違法が存在したというべきであり、取消されるべきである。

(五)  尚附言すると行政処分のなされた時期において違法性の存否の判断をなすべきことは確定された判例、学説理論である(最高第二小法廷判決昭和二七年一月二五日民集六巻一号二二頁、同第三小法廷判決昭和二八年一〇月三〇日民集一〇巻三三一頁、同第二小法廷判決昭和三四年七月一五日民集一三巻七頁一〇六二頁、田上「判例にあらわれた行政事件訴訟の基本問題」、白石「公法関係の特書と抗告訴訟の対象」四四一頁等多数)。因みに東京地裁判決昭和三八年一二月二五日判例時報三六一号、一六頁以下は右の理論を行政における行政庁の姿意、独断によらない行政処分を受ける国民の法的利益ないし権利の観点から評論したものとして極めて示唆に富むものであり、行政の手続的保障に寄与するところ大であつて十分参考に供されるべきである。と述べた。

被告は原告の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とする。との判決を求め、答弁として、請求の原因たる事実一、二の各点と同三のうち原告が右裁決書謄本通知書を受領した点を認め、その余の点を争そい、被告の主張として

一、本件課税処分の経緯について

(一) (業態)

原告は本件係争年当時、名古屋市昭和区滝川町二五番地において化粧品、雑貨等の卸および小売業を営み現在まで引続いて営業しているものである。

(二) (確定申告)

原告は本件係争年分の所得税について昭和三九年三月一六日別紙(一)課税処分表「確定申告額」欄記載の内容による確定申告書を被告昭和税務署長に提出した。

(三) (更正および賦課決定)

右申告について被告税務署長は、原告の営業の実態等に照らして過少な総所得金額等と認め、昭和三九年六月五日頃から調査したが、原告は右調査に対しては係争年分の営業取引に関する帳簿書類として僅かに十一・十二月分の卸売上納品書と、年間の仕入の仕切書類及び経費の領収証の一部を提示したのみでその余の帳簿類は転宅の際紛失したとして提示がなかつたものである。而して右提示に係る帳簿書類等によつては、到底係争年分の事業所得金額を算定することができず、しかもその他の適当な資料の提示もなかつたため、被告署長としては小売部門の事業所得を全く調査することが不可能であり、且つ卸部門の所得も全年を通じては到底把握できなかつたので、やむを得ず所得税法(昭和四〇年法律第三三号により改正される以前の所得税法、以下改正前所得税法という。)第四五条第三項の定めるところに従い、推計により事業所得の金額を算定し、また譲渡所得の損失額についても原告の申告額が誤つていると認められたので、国税通則法第二四条により別紙(一)課税処分表「更正額または賦課決定額」欄記載のとおり総所得金額二、一〇四、九三〇円、所得税額金四二三、一九〇円と更正するとともに、同法第六五条により右更正処分による増差税額の金一、〇〇〇円未満の端数を切捨てた額に一〇〇分の五の割合を乗じた金額に相当する過少申告加算税金二一、一〇〇円を賦課決定し、昭和三九年七月一五日付で原告に通知した。なお、被告署長が通知した所得税の更正通知書には所得の書類を営業所得と記載してあるが、これは事業所得を更に細分したものである。

(四) (異議申立および棄却決定)

原告は、右原処分を不服として昭和三九年八月一五日被告署長に対して異議申立をしたが、その理由とするところは原告の資料を無視したところの一方的な推計を行なうことなく、実情を充分調査されたいというものであつた。そこで、被告署長が右異議申立について調査したところ、原処分は正当であり、原告の異議申立には理由がないものと認められたので棄却の異議申立決定をなし、昭和三九年一一月一三日付で原告に通知した。

(五) (審査請求、棄却裁決)

原告は、更に右異議申立棄却の決定を不服として昭和三九年一二月一二日名古屋国税局長に対し審査請求をなした。そこで、同局長は右審査請求について調査したところ、右請求は理由がなく、原処分が正当と認められたので右審査請求を棄却する裁決をなし、昭和四〇年一〇月二〇日付で原告に通知した。

二、原処分の正当なことについて

被告署長並びに名古屋国税局長は原告の申立て、異議申立書および審査請求書に添付された収支計算書記載の数額につき、その実額を確認し得るものについては可能な限り調査し、その他については合理的な推計によつて計算をなした。これによると、原告の係争年分の事業所得の金額は別紙(二)事業所得計算表のとおりとなる。したがつて右金額の範囲内でなされた被告の処分には何ら違法はない。

と述べ、原告の所説を争い、申告納税制度とは、通常納税者の自発的申告によつて税額が一応確定する制度であり、納税者は税法の規定にもとづきみずから税額を計算して税金を納付するもので租税法規の解釈および納税の手続はまず納税者に委ねられる。税務行政機関がその申告を正当と認めるときは租税法上の手続は自動的に終了し、税務行政機関は納税者の申告がないとき、または申告が正当でなかつたときに、その租税法規の解釈および課税事実の確認にもとづいて補充的に正当な税額の全部または一部を納付せしめるものであつて、申告納税制度の下においても税務行政機関は常に公権力をもつて納税者が正確に納税義務を履行したか否かを調査する職責を有し、納税義務者の申告税額等が税務行政機関の調査したところと異なる場合は申告税額等に何ら拘束を受けることなく納税者の申告税額を更正することが出来るのであり、納税申告によつて租税債務の内容が最終的に確定するものではなく、税務行政機関の行なう更正(申告のないときは決定)権が留保されており、更正(又は決定)のないことを条件として、その申告が承認されるにすぎないのである。国税通則法第二〇条(修正申告の効力)、第二三条および同法第二九条(更正等の効力)の規定が申告税額の法的拘束力および申告税額の不可変更性を示すものとする所説は全く独自の見解であつて、申告税額についてはかかる効力は存しない(同法第一九条参照)。

処で原告は正確な所得計算をなさず更正処分がなされたと非難し、その根拠として被告税務署長が本件訴訟において原処分時における原処分の所得計算内容を主張していないことを挙げているようであるが、本件更正処分の実体要件としての所得の存否は正に本件訴訟における最大の争点であり、右実体要件に関する適法性については被告税務署長は既に主張しているところである。

そして、右の如き所得の存否に関する実体要件の主張に際して、原処分の時の所得計算内容をそのままの形で主張しなければならないという法的制約はない。被告税務署長は右の見解に立脚して、原処分時における所得計算内容を特に区別して主張することをしていないのに過ぎない丈けである。

要するに国税通則法第二四条は「税務署長は、納税申告書の提出があつた場合において、その納税申告書に記載された課税標準等又は税額等の計算が国税に関する法律の規定に従つていなかつたとき、その他当該課税標準等又は税額等がその調査したところと異なるときはその調査により当額申告書に係る課税標準等又は税額等を更正する。」と規定している。

更正処分は課税標準等又は税額等を更正するのであるから、それによつて更正すべきところの「調査したところ」(調査の結果)とは、調査によつて認定された課税標準等又は税額等を指すことは明らかである。したがつてそこにいう調査とは課税標準等又は税額等を認定するに至る一連の判断課程の一切を意味するものと考えられる。

すなわち、この調査は税務官庁の(イ)証拠資料の収集にはじまり、(ロ)証拠資料の取捨選択、証拠の評価、経験法則の適用を通じての事実の認定、(ハ)税法その他の法令の解釈適用による法的な判断などを経て更正処分にいたるまでのすべての行為(思考判断)を含むきわめて包括的な概念であると解される。

国税通則法第二四条にいう「調査」とは、前述のように各税法に定める課税要件事実の充足を認識し租税債務額を確認するためのあらゆる行為を総称するものであるが、そのような調査は、もともと更正処分に限らず、あらゆる行政処分に常に先行するものである。行政処分はそれが法律行為的なものであれ、事実行為的なものであれ、また羈束的なものであれ、裁量的なものであれ何らの思考作用をも必要としないようなものはないから、何らの調査(思考、判断作用)も経ないで行政処分が行なわれるということはありえない。しかるに、一般の行政処分において、その処分の前提となる証拠資料の収集、証拠の評価、事実の認定等をその処分の手続的な適法要件として把える見解は存在しないことからも明らかなように、処分に先行するすべての行為の履践が法律上当然にその処分の手続的な適法要件とされるものではなく、法がその履践を処分の要件として要求している場合に限つて、その行為の履践が処分の手続的な適法要件となることはいうまでもないことである。

ところで、前述の如く国税通則法第二四条の調査は証拠資料の収集、事実認定、法令の解釈適用などを含む点で訴訟の審理に類似している面があるが、現行税法には訴訟の審理における証拠調べその他の手続に関する規定に対応する具体的な手続的な規定は一般的には全く設けられていない。

このように国税通則法第二四条の調査においては、その調査をどのような方法で行なうべきか等について何らの規定が設けられていないから、処分庁のする証拠資料収集、事実認定ならびに法律判断については、その手続面に関する限り処分庁に裁量権が認められていると解釈せざるをえないが、このような具体的な内容を伴わない抽象的な規定によつて法律が行政活動に対する何らかの手続的な規制を加えようとしたものとはとうてい解されない。もし法的な要件として規制を図るのであれば、もつと明確に具体的な要件をもつて個別的に規制すべきであり、さもないと行政機関に対する行為規範としての意味を全くもたないし、また手続保障規定としての実効も期待しえないからである。

また課税処分は、客観的、抽象的にはすでに成立しているところの租税債務を具体的に確定させるための確認的な 束処分であり、税務署長の調査が不充分である結果、えられた結論(税務署長の認定)が課税処分の実体的な要件を満たしていないことになれば、その課税処分は違法であると評価され、行政上司法上の救済を受けうるものであるから、そのほかに、たとえば青色申告の更正の場合における帳簿書類の調査や理由の附記のように、積極的に一定の具体的な手続行為をなすべきことを要求する規定がなく、具体的にどのような調査をどの程度行なうかは税務署長に委ねられているのに、単に抽象的に何らかの調査をなすべきこと等を課税処分の手続的な適法要件として要求する必要性ないし実益はないといいうる。

したがつて、国税通則法第二四条は、単に申告された課税標準等または税額等が税務署長の認定計算した課税標準等または税額等と異なるときは税務署長は自己の認定計算した金額で課税標準等または税額等を更正することができることを規定しているにすぎず、それ以上の意味(調査は更正をなすにあたつての法律上の手続要件であり、その不遵守は当該処分を違法ならしめるとする意味)を有しないものと解すべきである。

これを要するに国税通則法第二四条にいう調査は、更正処分に論理上もしくは事実上先行する行為ではあるが、更正処分の手続的な適法要件とはされていないものと解される。

と述べた。

証拠として、原告は甲第一ないし第五号証を提出し、証人土本久夫(第二回)の証言と原告の本人尋問の結果を援用し、乙第三、第四号証の各成立を認め、その余の乙号各証の成立は不知と述べ、被告は乙第一ないし第二〇号証を提出し、証人土本久夫(第一回)、同柴田富夫、同大須賀俊彦(二回)の各証言を援用し、甲号各証の成立を認めた。

理由

請求の原因たる事実一、二の各点と同三のうち原告が裁決書謄本送達通知書を受領した点は当事者間に争がなく、被告の主張事実一(一)の点は原告において明らかに争わないのでこれを自白したものと看做すべく、同(二)の点は当事者間に争がなく、同(三)のうち原告が一一、一二月分の卸売上納品書と年間の仕入先の請求書、領収書を提示した点と所得税の更正通知書に営業所得として記載してあるのは事業所得を細分したものである点も当事者間に争がなく、同(四)のうち原処分が正当であり、原告の異議申立は理由がないものと認めた点を除くその余の点と同(五)のうち審査請求は理由がなく、原処分が正当と認められた点を除くその余の点もいずれも当事者間に争がない。而して証人土本久夫の各証言(二回)により真正の成立を認めうる乙第一、第二号証、同各証言、証人柴田富夫の証言によると右(三)のその余の点と被告の主張事実二のうち冒頭より別紙(二)事業所得計算表のとおりとなる。までの点を認定しうる。原告の各証拠中右各認定に反する部分は被告の右各証拠、乙第五ないし第一九号証(これら証拠は右柴田証人の証言により真正の成立を認めうる。)に対比して措信しがたく、他に右各認定を覆えすに足る証拠はない。

而して原告の所説(一)の点は大率被告の争わぬところであり、同(二)の点も自主申告により租税債務の内容が最終的に確定するものでなく、税務行政機関の行う更正権が留保されており、更正のないことを条件としてその申告が承認されるとする外は大率被告の争わぬところである。同(三)の点については国税通則法第二四条に関する被告の所説をもつて妥当とすべく、原告の所説は首肯し難い。原告は自主申告を強調しながら自らその基礎となるべき主要なる資料をすら十分に具備することなく、税務行政機関に対しては実質的にかつ十二分な調査を要求せんとしているのは如何なものであろうか。勿論更正処分をするにはそれだけの十分な調査は必要であろうし、またそれは原告よりの資料の提供が少なければ少ないだけより困難な仕事であることはいともみやすいところであるが、それだからとてよい加減な見込のもとになされてよい筈はなく客観的かつ合理的にみて申告税額が調査税額と異つていることが必須要件となることは原告の指摘する通りである。しかるに被告は前記認定説示の通り右更正処分にあたり可及的に原告の業態をつかみこれに基き原告の本件事業所得額を推定算出したものであり、右の資料蒐集が原告の指摘するような瑕疵あるものとも認められなく、しかも前記柴田証人、証人大須賀俊彦の各証言により認められるようにその後のより精度の高い調査により合理的に推定算出された所得額の範囲内のものであることが明らかにされているので被告の本件更正処分には原告の指摘するような手続面における違法を認め難く、その他にこれを取消さねばならないような瑕疵も認められないので、原告の請求を失当として棄却し、民事訴訟法第八九条により主文のように判決する。

(判事 小沢三朗)

別紙(一)

課税処分表

〈省略〉

〈省略〉

別紙(二)

事業所得計算表

〈省略〉

〈省略〉

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